問い合わせ対応のチャットボットは、よくある質問と答えを1対1で並べる形から始まります。ただ、「ログインできない」「パスワードを忘れた」「ログインでエラーが出る」が別々の答えになると、追加が終わりません。Learn Prompting は、意図ごとに文書を1つ対応させ、その文書を根拠に答えを生成する形を紹介しています。

手順1:意図を10個に絞る
対応履歴を見て、質問を10個のまとまりに整理します。まとまりの単位は、答えの置き場所が同じになるかどうかです。ログイン、料金、解約、設定の移行のように、手順が別れるものは分けます。10個を超えると、どれに入るか迷う質問が増えます。迷った質問は、いったん「その他」に寄せて、あとで数えます。
手順2:意図ごとに文書を1つ置く
意図1つにつき、根拠になる文書を1つ決めます。社内の手順書、ヘルプページ、運用メモのどれかです。1つの文書に複数の手順が混ざっている場合は、手順ごとに分けます。分けずに置くと、答えが両方の手順を混ぜて返します。文書の冒頭に、対象の製品と版を書いておくと、古い手順との取り違えを避けられます。
手順3:全文を渡さず、文書を選ばせる
社内文書を全部まとめてAIに渡す形は、量が増えると成立しません。Learn Prompting も、全文を1回の入力に収めることは難しいと説明しています。そこで、質問に近い文書を検索で選び、選んだ文書だけを渡します。この検索の部分はセマンティック検索のページで扱っている考え方が使えます。
手順4:根拠の外は「分からない」と返させる
渡した文書に書かれていないことは、答えさせません。「文書にない場合は、確認が必要だと伝えてください」と指示します。この一言がないと、一般的な知識で埋めてしまいます。埋まった答えは、正しく見えるぶん発見が遅れます。運用しながら、答えられなかった質問を記録します。
手順5:外した質問を文書に戻す
答えられなかった質問は、週に1回まとめて見ます。多い順に並べ、足りない文書を1つ足すか、既存の文書に1段落を加えます。チャットボット側の指示を直すより、文書を直すほうが再発しにくいです。全体の構成はRAGのページで確認できます。
FAQ
Q. 意図の分類はAIに任せられますか?
A. 任せられますが、分類の単位は人が決めたほうが安定します。答えの置き場所が同じかどうかを基準にすると、分類の粒度がぶれません。AIに任せる場合は、分類の結果を定期的に見直す前提で使います。
Q. 文書が古いまま更新されない場合は?
A. 各文書に更新日と担当を書き、四半期ごとに見直す対象を決めます。古い文書が残ると、古い手順を自信をもって返します。更新の担当が決まっていない文書は、根拠から外す判断も要ります。
出典
出典:Learn Prompting「知識ベースを使ったチャットボット開発を LLM で強化する」(原題 Using LLMs to Enhance Chatbot Development with Knowledge Bases、Valeriia Kuka、2025年3月10日更新、2026年10月28日参照)
あわせて使いたいツール
本記事の手順を実際に回すときに、候補になるツールを挙げます。いずれも無料から試せる範囲があり、料金や機能は各サービスの公式情報で確認してください。
関連ガイド
同じ時期に公開した実務ガイドと、用語の定義ページです。手順の前提が分からない場合は、用語ページから確認してください。コピーして使える依頼文が欲しいときは、プロンプト集も参照してください。
- 報告書の数字を表に抜き出す:桁と単位を崩さない5手順
- 要約の長さを指定して作り直す:薄い要約を立て直す5手順
- RAG(検索拡張生成)(用語辞典)
- AI用語辞典(五十音順の一覧)
- はじめての LLM 活用(学習ルート)
- ガイド一覧(実務手順をまとめて読む)
- AIツール一覧(道具から探す)
- 比較記事一覧(料金と機能で比べる)
- レビュー一覧(使った記録を読む)
編集部の見解
手順2の「1意図1文書」を守ると、運用がかなり楽になります。うちで試したとき、1つの文書に3つの手順が入っていたため、答えが混ざりました。文書を分けただけで解決しました。手順4の「分からないと返させる」は、最初は物足りなく感じます。ただ、埋めさせた答えを後から検証する手間を考えると、このほうが安く済みます。
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