検索して出てきた文書が、質問に似ているのに答えていない。あるいは、関係ない資料が混ざって回答がぶれる。こうした取りこぼしは、検索の仕組みそのものより、問いの作り方と候補の並べ方で起きています。DeepLearning.AI の講座では、失敗の型を分けたうえで、問いの拡張、並べ替え、埋め込みの調整という順に手を入れる構成になっています。

手順1:失敗を2種類に分ける
1つは、意味は近いが答えを含まない文書が返る型。もう1つは、無関係な文書が混ざり、回答が引っ張られる型です。講座では、この2つを単純なベクトル検索の限界として挙げています。分けておくと、次にどちらの手を打つかが決まります。実際に外した質問を10件ほど並べ、どちらの型が多いかを数えるところから始めます。
手順2:問いを言い換えて広げる
元の質問に、関連する概念や語を足して検索します。講座では、モデルに問いを広げさせる方法と、想定される答えをいったん書かせてそれを問いに含める方法の2つが紹介されています。広げすぎると別の話題を拾うため、足す語は3つ程度に抑えます。元の問いは残したまま、広げた版を別に用意すると、結果を比べられます。
手順3:候補を多めに取る
広げた問いで検索するとき、返す件数をいつもより増やします。並べ替えで絞る前提なので、この段階で絞りすぎると、あとから戻せません。件数を増やすと、無関係な文書も入ってきますが、それは次の手順で落とします。ここで絞ると、必要な文書が最初から消えます。
手順4:並べ替えで上から選ぶ
取り出した候補を、質問との関連で並べ替えます。講座では、cross-encoder を使った並べ替えが扱われています。埋め込みの近さだけで順番を決めるのではなく、質問と候補を組にして評価する形です。処理は重くなるため、上位に残す件数は用途に合わせて絞ります。並べ替えの考え方はリランキングのページで整理しています。
手順5:使うほど当たるように調整する
講座では、埋め込みに小さな変換層を足し、利用者の反応を使って調整する方法も扱っています。どの結果が使われたかを記録しておくと、調整の材料になります。記録がないまま調整すると、勘で触ることになります。検索の全体像はRAGのページで確認できます。
FAQ
Q. 問いを広げると、余計な文書が増えませんか?
A. 増えます。だから件数を多めに取り、並べ替えで絞る順番にします。広げた問いで件数を絞ると、取りこぼしが増えます。
Q. 並べ替えだけで足りない場合は?
A. 失敗の型が無関係の混入なら並べ替え、似ているが答えないなら問いの広げ方が効きます。両方起きているなら、片方ずつ順に試します。
出典
出典:DeepLearning.AI「Chroma で学ぶ発展的な検索」(原題 Advanced Retrieval for AI with Chroma、Anton Troynikov、2025年10月7日更新、2026年10月27日参照)
あわせて使いたいツール
本記事の手順を実際に回すときに、候補になるツールを挙げます。いずれも無料から試せる範囲があり、料金や機能は各サービスの公式情報で確認してください。
- Claude:候補の文書を読ませて答えの有無を確かめられる
- Perplexity:問いを広げたときの検索結果を比べる用途に向く
関連ガイド
同じ時期に公開した実務ガイドと、用語の定義ページです。手順の前提が分からない場合は、用語ページから確認してください。コピーして使える依頼文が欲しいときは、プロンプト集も参照してください。
- コーディングAIに渡す仕様を先に書く:5つの欄で作る手順
- エージェントに記憶を持たせる:3種類の記憶を分ける5手順
- リランキング(用語辞典)
- AI用語辞典(五十音順の一覧)
- はじめての LLM 活用(学習ルート)
- ガイド一覧(実務手順をまとめて読む)
- AIツール一覧(道具から探す)
- 比較記事一覧(料金と機能で比べる)
- レビュー一覧(使った記録を読む)
編集部の見解
手順1の切り分けを飛ばすと、だいたい遠回りになります。うちでも、回答が薄い原因を問いの書き方だと思って言い換えを繰り返し、実際は無関係な文書が混ざっていただけだった、ということがありました。手順3で件数を増やすのも抵抗がありますが、絞る場所を後ろにずらすだけで、必要な文書が残ります。調整は最後でよく、まず失敗の型を数えるのが順番として正しいと思います。
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