問い合わせへの返信は、件数が多く、内容がある程度パターン化しています。そのため、AIに下書きを任せやすい作業のひとつです。本記事では、HubSpotが公開しているカスタマーサポート向けの解説を参考に、下書きを仕組みにするまでの手順を5つに整理します。丸ごと任せるのではなく、人が確認する前提で組み立てるのが要点です。

向いている問い合わせと向かない問い合わせ
向いているのは、料金の確認、手続きの案内、仕様の問い合わせなど、答えが社内資料に載っている質問です。逆に、クレームの一次対応や、契約条件の例外判断は、AIの下書きだけで返すべきではありません。感情に配慮が必要な場面や、責任の所在が問われる場面は、人が最初から関わるほうが安全です。
HubSpotの解説でも、AIに任せる範囲を決め、判断が必要な場面では人に戻す設計が重要だと説明されています。まずは「答えが資料にある質問」に限定して始めると、品質を保ったまま効果を出せます。
手順1:対応パターンを書き出す
過去1か月の問い合わせを、対応内容ごとに分類します。料金、契約、使い方、不具合、要望など、5〜8種類に収まることが多いはずです。分類ごとに件数を数えると、どのパターンから手を付けるべきかが見えます。
手順2:回答の材料をそろえる
分類ごとに、回答に使う社内資料を1つに決めます。料金表、手順書、FAQなどです。資料が複数に散っていると、AIが参照すべき情報を指定できません。まずは「この質問にはこの資料」という対応表を作ります。
手順3:前提と出力形式を固定する
AIに与える前提として、役割、扱う範囲、出力の形式、禁止事項を決めます。たとえば「丁寧語で、300字以内、社外秘の情報は書かない」といった条件です。前提を固定しておくと、担当者が変わっても文面の傾向がそろいます。考え方はシステムプロンプトのページで詳しく解説しています。
手順4:人の確認を挟む
下書きをそのまま送信せず、必ず人が確認してから送ります。確認する観点は、事実の誤り、金額や期限の数字、断定しすぎていないかの3点です。確認にかかる時間を測っておくと、削減効果を正しく評価できます。
手順5:記録して改善する
どの下書きが採用され、どこを直したかを記録します。直しが多かった分類は、前提の書き方か資料の整備に問題があります。記録がたまると、よくある修正を前提文に取り込めるようになります。
道具と役割の分担
| 目的 | ツールの例 | 役割 |
|---|---|---|
| 問い合わせを一元管理する | Zendesk/Intercom | 受付から履歴管理までをまとめる |
| 下書きの品質をそろえる | システムプロンプト | 前提と出力形式の設計を確認する |
| 効果を測る | 定型業務の棚卸し | 導入前後の時間を比べる手順 |
よくある質問(FAQ)
Q. 顧客情報を入力しても問題ありませんか?
A. 入力してよい情報の範囲は、事前に社内で決めておく必要があります。氏名や連絡先などの個人情報は、社内で許可された環境以外には入力しません。まずは一般的な質問への回答で試し、範囲を決めてから対象を広げるのが安全です。
Q. 文面が画一的になりませんか?
A. 前提に「お礼の一文を入れる」「相手の状況に触れる」といった条件を加えると、単調になりにくくなります。ただし定型の挨拶を長くするより、質問への回答を先に書く構成のほうが、読み手の負担は小さくなります。
Q. どのくらいの件数から効果が出ますか?
A. 絶対的な件数より、1件あたりの作成時間と確認時間の合計で見るほうが確実です。合計が導入前より短くなっていれば、件数が少なくても効果は出ています。逆に確認に時間がかかりすぎる場合は、前提文か資料の整備を見直します。
編集部の見解
問い合わせ対応では、速さより一貫性のほうが信頼につながります。AIの下書きは、速くする道具というより「文面のばらつきを減らす道具」と捉えると使いどころが見えてきます。当編集部では、まず分類と資料の対応表を作ることをすすめています。この表がないまま下書きだけ導入すると、確認の手間が増えて逆効果になりがちです。
my-best.ai 編集部
出典:HubSpot「AI agents for customer support」/HubSpot Academy(要約して紹介しています)
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