長い手順を含む依頼をそのまま投げると、途中で条件が抜けます。かといって小分けにしすぎると、今度は全体の整合が取れません。難しい課題を、易しい部分問題の列に置き換え、前の答えを次に渡していく。この組み立て方が、長い仕事を崩さずに進めるコツです。

「分けて順に解く」と「順に考える」は違う
考えながら答えるやり方では、各段の判断が独立しています。途中で前提を取り違えても、そのまま進みます。部分問題に分けるやり方は、前の段の答えを次の段の入力に使うため、取り違えが次に伝わる代わりに、前提が固定されます。
向くのは、条件が積み上がる課題です。見積の計算、規程の当てはめ、複数資料の突き合わせが該当します。
手順1:最終的に出したいものを1行で書く
「A社の見積のうち、規程に反する項目を挙げ、修正案を添える」のように、成果物を1行で書きます。ここが曖昧だと、部分問題の切り方が定まりません。
手順2:部分問題を「易しい順」に並べる
分解のしかたで迷ったら、次の順番で並べます。用語と条件の確認、材料の抜き出し、条件の当てはめ、判断、文面の作成。前の段の答えが、次の段の材料になるようにします。
この順番は、難しい判断を最後に置くという意味でも効きます。判断の前段で事実が揃っていれば、判断のぶれが小さくなります。
手順3:1段目は「材料を揃える」だけにする
1段目で判断させないでください。材料の抜き出しに限定します。「次の文書から、金額・期日・担当者・条件を抜き出し、表にしてください。書かれていない項目は空欄にしてください」。空欄を許すのが要点です。埋めさせると、それらしい値が入ります。
手順4:前の答えを次に渡す
| 段 | 渡すもの | 渡さないもの |
|---|---|---|
| 2段目 | 1段目の表 | 元の文書すべて |
| 3段目 | 2段目の判定と、判断の根拠 | 1段目の表のうち使わない列 |
元の文書を毎回渡すと、前の段の結論を無視して読み直します。渡す情報を絞ることで、段ごとの前提が固定されます。
この「渡す情報を絞る」考え方は、コンテキストウィンドウの使い方そのものです。
手順5:各段の出力形式を固定する
段ごとに、表か1行の判定か、形式を決めます。形式が毎回変わると、次の段が解釈を始め、そこで誤りが生まれます。3段なら3つの形式を、最初に決めて紙に書いてください。
手順6:最後に全体を通して矛盾を確認する
各段が正しくても、全体で矛盾することがあります。最終段のあとに、1段目と最終段を並べて読む工程を入れます。「金額は一致しているか」「期日の解釈は揃っているか」の2つだけ見れば足ります。
よくあるつまずき
部分問題を細かくしすぎると、段が増えて手間がかかります。5段を超えたら、統合できる段がないか見直してください。2つの段を1つにまとめても判断が安定するなら、そのほうが速いです。
また、1段目の抜き出しが漏れると、以降の段がすべて崩れます。1段目だけは、人が見て確認する価値があります。
FAQ
Q. ふつうに1回で頼むのと、何が変わりますか?
A. 途中の前提が固定される点が変わります。1回で頼むと、条件の解釈が毎回ぶれます。段に分けると、解釈を1か所に決めてから先に進めます。
Q. 段ごとに別のチャットを開くべきですか?
A. 同じ会話のまま進めて構いません。ただし、関係ないやり取りが混ざると前提が揺れるため、業務ごとに会話を分けてください。
出典
出典:Learn Prompting「Least-to-Most Prompting」(2024年8月7日更新)
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編集部の見解
分解の価値は、精度より説明にあります。段ごとに答えが残っていれば、どこで判断が変わったかを後から示せます。1回で答えを出させると、結果は出ても過程が残りません。見積や規程の確認のように、後から理由を聞かれる仕事ほど、段を分けておく意味があります。
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