請求書や申込書の読み取りを任せると、文字は取れているのに表の対応が崩れる、という結果になりがちです。DeepLearning.AI の講座「Document AI」は、従来のOCRが表の結合セルや図表と見出しの関係、段組みの読み順を落とすと説明しています。この限界を知ることが、設計の出発点になります。

文字が読めることと、項目が取れることの差
講座の説明では、従来のOCRは文字を取り出すことはできても、レイアウトの情報を失います。結合されたセルの表、図と注釈の対応、複数列の読み順がその例です。手作業で確認している工程の多くは、この失われた情報を人が補っている時間だと考えられます。AI OCR の用語もあわせて確認してください。
手順1:どの項目が必要かを先に列挙する
読み取りの設計は、技術の選択より前に、欲しい項目を列挙するところから始まります。日付、金額、取引先、明細の行数など、後工程で使う項目を書き出します。講座は、利用者が定義したスキーマに沿って項目を抽出する考え方を示しています。項目が決まっていないと、読み取りの出来を判定できません。
手順2:書類の種類ごとに分ける
同じ「請求書」でも、取引先ごとに体裁が違います。体裁ごとに分け、それぞれについて必要な項目と、崩れやすい箇所をメモします。崩れやすい箇所が分かると、どこを人による確認に回すかが決まります。
手順3:領域の検出と読み順を確かめる
講座は、レイアウトの検出と読み順の整列を、OCRの次の工程として扱っています。手元で試す場合は、1つの書類を読み取らせ、項目が正しい順番で並んでいるかを目で確かめます。表の行と列が入れ替わっている場合は、この工程が抜けています。文字の認識率だけを見ていると、この崩れは見つかりません。
手順4:項目の抽出を型に落とす
項目が取れたら、出力の形を決めます。表形式か、項目名と値の組か、どちらかに統一します。講座では、書類をMarkdownとして解釈し、項目と値をJSONとして取り出す形が扱われています。後工程が表計算なら表形式、システムに渡すなら項目名の組が扱いやすいです。
手順5:人の確認を残す場所を決める
金額や日付のように、誤りがそのまま取引に影響する項目は、人が確認する場所として残します。確認の対象を絞るには、どの項目がよく崩れるかの記録が要ります。最初の50件で記録を取り、崩れの多い項目から確認の対象にしてください。
FAQ
Q. 手書きの書類にも使えますか?
A. 講座の説明では、従来のOCRは手書きやスキャン画像の扱いが苦手だとされています。手書きが多い場合は、その前提で確認の工程を厚く設計してください。
Q. どのくらいの精度が出ますか?
A. 一律の数字は示せません。書類の体裁と項目の種類で大きく変わります。手元の書類50件で、項目ごとの正解数を数えるところから始めるのが確実です。
出典
出典:DeepLearning.AI「Document AI: From OCR to Agentic Doc Extraction」(講師 David Park、Andrea Kropp、2026年4月22日更新、2026年10月24日参照)
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本記事の手順を実際に回すときに、候補になるツールを挙げます。いずれも無料から試せる範囲があり、料金や機能は各サービスの公式情報で確認してください。
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同じ時期に公開した実務ガイドと、用語の定義ページです。手順の前提が分からない場合は、用語ページから確認してください。コピーして使える依頼文が欲しいときは、プロンプト集も参照してください。
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編集部の見解
帳票の自動化でつまずくのは、認識率の低さより、どの項目が崩れるかを把握していないことだと思います。項目を先に列挙し、崩れを記録し、確認の対象を絞る。順番としては地味ですが、この3つが揃うと、道具を替えても運用が崩れません。読み取りの巧拙より、確認の設計のほうが結果を左右します。
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