AIに頼んだのに、頼んだ形と違うものが返ってくる。原因の多くは、指示の中身が足りないのではなく、指示の対象と形が書かれていないことです。Learn Prompting は、指示プロンプティングを「自然言語で指示を与え、その場で新しい作業をさせる」手法として紹介しています。

指示が通らないのは、語彙の問題ではない
Learn Prompting の解説は、モデルに例を見せて覚えさせるのではなく、言葉で頼むだけで新しい作業をさせられる点を、指示プロンプティングの利点として挙げています。逆に言えば、言葉で書かれていないことは実行されません。「いい感じに」「適切に」といった語は、判断の基準が書かれていないため、毎回違う結果になります。
手順1:作業を1つの動詞で言い切る
指示の中心は、動詞1つで書ける作業です。「整理する」「変換する」「採点する」のように、何をするのかを1語で選びます。1つの指示に動詞が3つ以上入っていると、どれが中心か分からなくなり、出力が薄く広がります。動詞が複数あるときは、指示を分けます。
手順2:入力の形を、そのまま貼る
Learn Prompting が挙げる例の1つは、名前の整形です。入力が「John Smith」でも「Smith John」でも、出力を「[姓], [名]」の形に揃える、という指示です。この例が示すのは、入力の揺れを指示の中で認めたうえで、出力の形だけを固定する書き方です。入力の例を1つ貼ると、モデルはその形を前提に読みます。
手順3:出力の形式を、記号まで指定する
「表にして」ではなく、「1行目は見出し、列は3つ、区切りはカンマ」まで書きます。形式の指定が曖昧だと、読みやすいが使えない出力が返ります。あとで別の道具に渡す予定があるなら、その道具が読める形式を指定してください。CSVで渡すのか、箇条書きで渡すのかで、後工程の手間が変わります。
手順4:判断の基準を、観点ごとに分ける
Learn Prompting のもう1つの例は、小論文の評価です。文法・明瞭さ・一貫性・論の質・根拠の使い方の5観点で、それぞれ10段階の点数と理由を出させる指示になっています。観点を分けると、どこが弱いのかが読めます。合計点だけを出させると、直す場所が分かりません。この考え方は自己整合性のように、判定のばらつきを抑える使い方にもつながります。
手順5:個人情報の扱いを、指示の外で決める
Learn Prompting は、個人情報を置き換える例も紹介していますが、同時に注意も書いています。置き換えは誤ることがあり、外部のサービスに個人情報を送る行為でもあります。社内の規程を確認し、置き換えの可否と、送ってよい範囲を先に決めてください。技術的にできることと、してよいことは別です。
手順6:同じ指示を3回投げて、形が揃うか見る
作った指示で、同じ入力を3回投げます。3回とも同じ形式で返れば、指示として安定しています。形が崩れるなら、出力形式の指定が弱いか、入力の揺れを吸収できていません。崩れた回の出力を残しておくと、直す場所が特定できます。
FAQ
Q. 指示は長いほうがいいですか?
A. 長さより、書かれている項目の過不足で決まります。作業・入力・出力形式・判断基準の4つが揃っていれば、短くても通ります。
Q. うまくいかないときに、何を変えればいいですか?
A. 出力形式の指定を先に疑ってください。次に判断基準、最後に作業の分け方です。1回に1か所だけ変えると、効果が測れます。
出典
出典:Learn Prompting「Instruction Prompting: Complex Tasks with Simple AI Prompts」(Sander Schulhoff 執筆、2025年3月6日更新、2026年10月23日参照)
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本記事の手順を実際に回すときに、候補になるツールを挙げます。いずれも無料から試せる範囲があり、料金や機能は各サービスの公式情報で確認してください。
関連ガイド
同じ時期に公開した実務ガイドと、用語の定義ページです。手順の前提が分からない場合は、用語ページから確認してください。コピーして使える依頼文が欲しいときは、プロンプト集も参照してください。
- プロンプトの5つの部品と並べ順:指示を最後に置く理由
- AIで業務課題を解く5段階:いきなりツールを選ばない手順
- プロンプトエンジニアリング(用語辞典)
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- レビュー一覧(使った記録を読む)
編集部の見解
指示が通らないとき、多くの人は語彙を足します。専門用語を入れ、条件を増やし、禁止事項を並べます。ただ、実際に効くのは語彙より形式の指定です。出力の形が決まると、モデルはそこに合わせて中身を作り始めます。
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