「ソフトは死んだ」levelsioがほぼ全解約、足りない道具はAIに作らせる時代

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UXリサーチャー/AIツール評価
「ソフトは死んだ」levelsioがほぼ全解約、足りない道具はAIに作らせる時代

10月11日、独立開発者のPieter Levels氏(levelsio)が、仕事に使うソフトの購読をほぼ全て解約したと公表した。足りない道具は、必要になった瞬間にAIへ作らせる。SaaSを一人で複数運営してきた人物の判断だけに、ソフト会社の収益モデルへの含意が大きい。

「ソフトは死んだ」levelsioがほぼ全解約、足りない道具はAIに作らせる時代のポイント

個人ソフトウェアという発想

氏の運用は二つの型に分かれる。一つは使い切りで、分析の依頼一つに対しAIが結果を返して終わる。もう一つは小道具として残す型で、例えば賃貸探しなら、家賃のほか通勤費、敷金、仲介手数料、引っ越し費用を入れると初期費用と毎月の出費が見える計算機をAIに作らせ、物件ごとに数値を差し替えて比較する。全会員向けの賃貸プラットフォームではなく、自分の帳簿が合えばいい。目標を「自分が使える水準」まで下げるのが要点だ。Claudeは2025年6月に、対話で小さな道具を作り改めて共有する機能を出しており、この発想を支える土台は既にある。

氏自身の実例は具体的で、Photo AIの画像編集は自作のサービスに置き換え、Photopeaの購読を解約した。自社製品内の画像処理さえ満たせば足りる、という割り切りだ。

削減の内訳と残った支払い

業務 移行先 削減効果
コンテンツモデレーション AI 約1万米ドル/月
カスタマーサポート サポート基盤+AI 約5,000米ドル/月
画像処理・スクリーンショット・稼働監視 自作サービス ソフトとAPIの費用
合計 ― 約2.5万米ドル/月

9月9日の公表による内訳が上の表だ。ただし対象は複数サイトの運営経費であり、人件費も含む。一般の利用者がそのまま当てはめられる数字ではない。興味深いのは残った支払いで、ドメイン、メール送信、クラウド保管、バックアップ、サーバー、自社サイトで使うAIモデルは引き続き購入し、個人としてもClaude Code、YouTube、Spotifyなどの購読を保持する。道具は自作するが、道具を生成して動かす基盤は買う。支出の行き先がアプリからAI基盤とクラウドへ移る構図だ。

WordCraftが見せた「60%」の現実

一方、既存ソフトの丸ごとの代替がどれほど遠いかも、同時期の動きが示す。10月8日、ArtCraftチームがWord代替を目指すWordCraftを公開した。Rust製で無料、docxの読み書きに対応し、デスクトップとブラウザで動き、AIエージェント向けのAPIも備える。ただしチーム自身の評価では、実務でWordを完全に置き換える目標に対する完成度は約60%で、複雑な文書の互換、図表の保持、ページ送りの一致が今後の課題に挙げられている。他人から届くあらゆるファイルを壊さず扱う要求は、個人用の小道具とは次元が違う。

結局のところ、氏の運用は「置き換えられるものは作り、引き受けたくない仕事は買い続ける」という選別である。購読料を節約しても、保守にいくつかの夜を費やすなら帳簿は崩れる。問題が出た際に誰が直すかを含めて、ソフト会社が購読料で売っているのは安心の部分でもある。

よくある質問

Q. levelsioとは誰か。
オランダ出身の独立開発者Pieter Levels氏のハンドル名である。2014年に12ヶ月で12の創業企画に挑戦し、旅先探しの公開表を起点にNomads.com(旧Nomad List)、求人サイトRemote OK、AI写真ツールPhoto AIを運営してきた。本人の今年3月の公表ではPhoto AIの月収は10.5万米ドル、月利益8万米ドルに達する。

Q. 誰でも同じ運用に切り替えられるのか。
本人は長年の開発と運営の経験を持ち、自作の道具が動かなくなった時の対応も自前でできる。一般の利用者が真似るなら、データの紛失時の扱い、外部サービスの仕様変更への対応、保守に費やす時間まで込みで計算する必要がある。

編集部の見解

日本の個人と中小企業にも、月額数百円を数年払い続けて月数回しか使わない道具は多い。解約の判断基準は「使う頻度」より「結果の検査が容易か、データを失っても致命的でないか」の方が確実だ。手放せない基盤(メール、保管、AI)に絞って支払い、周辺の小道具をAIで作る。この配分は日本語環境でも再現可能で、試す価値がある。

my-best.ai 編集部

出典:36Kr「「ソフトは死んだ」のか。独立開発の重鎮がほぼすべての業務ソフトを解約:必要なものはAIに作らせる」(寄稿:新智元、2026年10月28日)

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