PC出荷20.1%減・スマホ22.0%減、AIがメモリを飲み干した四半期

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UXリサーチャー/AIツール評価
PC出荷20.1%減・スマホ22.0%減、AIがメモリを飲み干した四半期

2026年7〜9月の世界のPC出荷は前年同期比20.1%減の6,270万台、スマートフォンは22.0%減の2億5,530万台だった。いずれもIDCの統計で過去最大の落ち込みである。同じ四半期、半導体市場の月次出荷は1,597億ドル、前年比144.3%増と35年の統計で例のない伸びを記録した。AIがメモリを飲み干し、民生品の生産が細っている。

PC出荷20.1%減・スマホ22.0%減、AIがメモリを飲み干した四半期のポイント

2025年の回復はAIではなかった

PC市場は2011年ごろまで四半期9,000万台規模で推移し、以降は長い停滞に入る。スマートフォンの普及で買い替えの周期が伸びた。2020年に在宅とオンライン授業で需要が跳ね、2021年1〜3月は前年比57.9%増。だが一時的な需要で、2022年には反動で急落した。

2025年の回復も、生成AIの効果ではなかった。各四半期の伸びは10〜15%だが、主因は基本ソフトのサポート終了である。2025年10月14日で旧版の支援が切れ、新しい版に対応しない古い機材の入れ替えが企業を中心に走った。

そして2026年、流れが変わる。1〜3月は3.0%増、4〜6月は3.8%減、7〜9月は20.1%減の6,270万台。前四半期と比べても9.1%減で、新学期需要で第3四半期が第2四半期を上回る季節性が崩れた。価格上昇を見越した駆け込み出荷の反動も重なる。

メモリがすべてを決めている

指標 2026年7〜9月 補足
PC出荷 6,270万台(-20.1%) 第3四半期として過去最大の落ち込み
スマートフォン出荷 2億5,530万台(-22.0%) 四半期として過去最大
PC部材費に占めるメモリとSSD 約40% 価格高騰前は約15%
スマートフォンのメモリ費 前年比約350%増 低価格機では部材費の65%超
半導体の月次出荷 1,597億ドル(+144.3%) 2022年のピークの約3倍

PCの場合、メモリとSSDが部材費に占める比率は、価格高騰前の約15%から約40%へ上がった。スマートフォンでは、メモリの費用が1年で約350%増え、低価格機では部材費の65%を超える。利益が出なくなり、価格を上げ、仕様を削り、低価格モデルを止める。需要がさらに細る循環になる。

影響は価格帯で分かれた。上位2社の出荷は前年比4〜6%減にとどまったが、低価格帯に強い中国の3社は30〜35%減と大きく落ちた。

AIデータセンターというブラックホール

メモリはどこへ消えたのか。AIサーバーである。GPUの周りにHBMが載り、サーバーに大容量のDRAMと企業向けSSDが付く。メモリ各社は利益率の高いAI向けを優先する。同じビット数を生産するのに、HBMは汎用DRAMの約3倍のウェハー能力を食うとされる。HBMを増やせば、PCとスマートフォン向けのDRAMが減る。

NANDも同じ構造だ。大容量の企業向けSSDの需要が跳ね、民生向けの供給が絞られる。連鎖は明快だ。AIサーバーの需要が増え、生産能力がそちらへ寄り、民生向けが不足し、価格が上がり、端末の原価が上がり、出荷が減る。

半導体市場全体の数字は、この連鎖の裏側を示す。月次出荷1,597億ドルは前年比144.3%増で、1年で市場が約2.4倍になった計算になる。2022年のピークは月約500億ドルで、その約3倍にあたる。35年の統計で100%超の伸びは初めてだ。

消費者の冬はいつ終わるのか

IDCは、スマートフォンの低迷は2027年まで続き、回復は早くても2028年と見る。PCも価格の高止まりが続き、数四半期はさらに悪化しうる。

半導体市場にも影がある。144.3%の伸びの多くは、出荷量の増加ではなくメモリ価格の上昇によるものだ。最終需要の主役であるPCとスマートフォンが20%減るなか、価格がさらに上がる余地は限られる。AI投資の伸びが少しでも鈍れば、反動は大きい。

よくある質問

Q. なぜAIがPCとスマホの足を引っ張るのか。
AIサーバーがHBMとサーバー向けDRAM、企業向けSSDを優先的に買うため、汎用のメモリを作る余力が減る。同じビット数を生産するのにHBMは汎用DRAMの約3倍のウェハー能力が要るとされ、ひも付きで民生品の供給が細る。

Q. いつ回復するのか。
IDCはスマートフォンの底がまだ先で、早くても2027年、回復は2028年になると見る。PCも価格の高止まりが続くと予測する。AIデータセンターへの投資が続く限り、同じ状態が続く。

編集部の見解

この四半期の数字は、半導体市場の成長が「量」から「価格」へ移ったことを示している。出荷台数が20%減っても市場規模が2.4倍になる。値上がりに支えられた成長は、需要の反発か投資の減速で一度に反転する。

企業の調達計画は、値下がりを待つ前提で組まないほうがいい。更新周期を延ばすなら、その分の保守費用を先に見ておく必要がある。

my-best.ai 編集部

出典:36Kr「厳冬が来た、AIはスマートフォンとPCを捨てつつある」(寄稿:半導体産業縦横、2026年10月30日)

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