指示文は、書き直すうちに長くなります。条件を足すたびに文が増え、いつのまにか読み返すのも億劫な長さになります。Learn Prompting の解説は、明確な指示がそのまま良い出力につながるという立場で、名前の整形や個人情報の除去のような小さな課題から順に教えています。長さを削るほうが、足すより効果が出やすい場合があります。

減量の前に「基準の3回分」を取っておく
削る前の状態で、同じ入力を3回投げた結果を保存してください。これが比較の基準になります。削った結果が基準より悪ければ、元に戻す。この戻せる状態を作っておかないと、減量は恐ろしく感じて先に進みません。
手順1:文を「役割」で色分けする
指示文の各文に、役割の印を付けます。①AIに演じさせる立場 ②課題の内容 ③出力の形 ④禁止事項 ⑤例文。印が付けば、同じ役割が重複している文が目に入ります。重複こそ、減量の最初の候補です。
手順2:禁止事項を1つの塊にまとめる
書き足すうちに散らばるのが禁止事項です。「〜しないでください」が本文のあちこちにあると、AIは後ろの指示を優先しがちで、前の禁止が守られにくくなります。Learn Prompting の解説でも、明確で直接的な指示に整える重要性が強調されています。禁止事項は文末の1か所に集め、箇条書きにします。
手順3:例文の数を半分にしてみる
例文を添えると出力が安定する一方、長さの主因にもなります。例文の数を半分に減らし、基準の3回と比べます。悪くなければ、そのまま減らします。例の選び方は、少数例示学習の項目に近い考え方で、「境目になる例」を1つ残すのが要点です。判断が分かれる入力の例を1つ残せば、あとは本文の指示で足りることがほとんどです。
手順4:出力の形を1行で書き直す
出力の指定が数行に及んでいるなら、1行に圧縮します。「出力は、見出し1行と箇条書き3項目のみ」のように、形を一望できる1文にします。出力の形は、減量の効果がもっとも出やすい部分です。コンテキストエンジニアリングの観点でも、渡す情報を絞ることは品質を上げる方向に働きます。
手順5:削った状態で3回投げ、記録する
削り終えた指示文で、基準と同じ入力を3回投げます。基準より良ければ採用、悪ければ1つ前の状態に戻します。結果は「文字数と、出力の状態」を1行で記録してください。減量は1回で終わりではなく、モデルや用途が変わるたびにやり直す作業なので、記録がないと毎回最初からになります。
削りすぎのサイン
削った途端に出力の幅が急に広がったら、削りすぎです。禁止事項の塊が薄くなったときに起きやすいので、その部分だけ元に戻します。減量は全体を一気に削るのではなく、役割ごとに1か所ずつ動かすほうが、原因が分かります。
FAQ
Q. 長い指示文のほうが丁寧な気がするのですが、短くして問題ありませんか?
A. 丁寧さと長さは別物です。問題なのは、同じ条件が重複している状態です。重複がなく、出力の形と禁止事項が明確なら、短いほうが揺れにくい場合が多いです。
Q. どのくらいの長さを目指せばいいですか?
A. 目標の文字数ではなく、「読み返して3秒で全体が掴めるか」を目安にしてください。それより長いなら、役割の重複がまだ残っています。
出典
出典:Learn Prompting「Instruction Prompting: Complex Tasks with Simple AI Prompts」(Sander Schulhoff 執筆、2025年3月6日更新、2026年10月22日参照)
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関連ガイド
同じ時期に公開した実務ガイドと、用語の定義ページです。手順の前提が分からない場合は、用語ページから確認してください。コピーして使える依頼文が欲しいときは、プロンプト集も参照してください。
編集部の見解
指示文が長くなるのは、不安の表れだと思います。守られなかったら困る条件を、念のため書き足す。ただ、足した条件のうち半分は重複していることが多く、減量して初めて「本当に守ってほしいもの」が分かります。書く側の整理にもなるので、減量は惜しくありません。
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