ゴールドマン・サックスの世界サーバー担当チームが10月18日付でリポートを出し、世界のサーバー市場のTAM(獲得可能な市場規模)を2027年は+31%、2028年は+45%へ上方修正しました。AIサーバーと汎用サーバーの両方が対象です。注目すべきは数字の大きさより、部材高を「需要の強さの確認」として読み替えた論理の組み立てです。

上修の中身
| 区分 | 2026年 | 2027年 | 2028年 |
|---|---|---|---|
| ラック型AIサーバー(NVL72相当、万台) | 6.3 | 11.0 | 16.4 |
| 前年比 | +238% | +75% | +49% |
| 8GPU AIサーバー(GPU+ASIC、万台) | 173.0 | 265.5 | 330.5 |
| 派生するAIチップ需要(万個) | 1,836 | 2,917 | 3,828 |
| 汎用サーバー出荷の伸び | +20% | +12% | +8% |
2028年のASIC比率は約58%(本文の表現では約60%)。世界の大手クラウドは約49%、中国のクラウドは92%に達する見通しです。AIの計算資源は、NVIDIAの単一供給から「GPU+自社ASICの二本立て」へ移りつつある、というのがこの数字の意味するところです。
値上げが「コスト」ではなく「支出」に変わる
メモリ価格の上昇は、サーバー本体の平均販売価格を押し上げます。普通に考えれば需要の重しです。ところがリポートは逆の筋を描きます。CSP(クラウド事業者)は値上がり分を資本的支出に組み込み、調達の総額を削らずに拡大させている。値上げ分が原価ではなく支出として処理されるため、TAMの上方修正につながる、という整理です。
同時に製品構成が変わります。ラック単位でGPU、冷却、電源をまとめて積む形になると、台数が伸びなくても単体の価値が跳ね上がります。8GPUサーバーの2026年出荷見通しを7%下方修正しているのも、需要が弱ったのではなく、米系大手クラウドがより高密度なラックへ移ったためです。同じ需要を、より高価な形で買っているわけです。
恩恵はどこへ流れるか
リポートは価値連鎖ごとに投資対象を並べています。ODM・組み立て、光モジュールとシリコンフォトニクス、高多層基板、冷却と構造部品、そして上流のファウンドリや検査用の部品です。日本企業の名前は主要な銘柄として挙がっていませんが、冷却、精密部品、検査装置、素材の側からこの連鎖に入っている企業は少なくありません。
注意点として、リポート自身が2つの変数を留保しています。部材高がCSPのキャッシュフローを圧迫する可能性と、AI投資の商業化がいつ回収されるかという時間軸です。どちらも2027年以降の前提を揺らし得ます。
よくある質問
Q. 「3年で8倍」とはどの数字ですか。
A. ラック型AIサーバーの出荷が2026年の6.3万台から2028年に16.4万台へ増えるペースを指します。金額ベースでは単価上昇が加わるため、伸びはさらに大きくなります。
Q. 汎用サーバーまで伸びるのはなぜですか。
A. エージェント型のAI処理を前提にした新しいCPUが投入され、AI以外の用途でも更新需要が発生するためです。加えてメモリ高が単価を押し上げます。
編集部の見解
この種のリポートは当たる外れるで読むより、前提の置き方を見たほうが実務に役立ちます。今回の前提は「CSPは値上げしても買い続ける」という一点に集約されています。裏を返せば、クラウド各社の資本的支出が1四半期でも減速すれば、この上修は一気に崩れます。
日本の製造業がこの波に乗る場合、狙い目は完成品ではなく、ラックの高密度化で必ず必要になる部品です。冷却、電源、高速伝送、放熱材料。台数が伸びなくても単価が上がる領域のほうが、価格交渉力を持ちやすい。派手なAIチップの話から一段下がったところに、実際の受注があります。
my-best.ai 編集部
出典:36Kr「ゴールドマン・サックス、世界のAIサーバー予測を再び大幅上方修正」(寄稿:Gelonghui、2026年10月20日)/ゴールドマン・サックス 10月18日付リポートの引用による
あわせて読みたい
- AIでアプリは誰でも作れる、その先に待つ「使う人が足りない」問題
- 中国AIアプリ2026年Q3──月間5.46億人、「3つの入口」が収束した局面
- シュミット氏、Anthropic株1%保有か──IPO前に見えた150億ドルの含み益
本日の36Kr AI版の記事を日本語で整理したものです。最新記事の一覧から他のニュースも読めます。
最新のAI情報をメールで受け取る
新着のAIツール比較・ランキング・ニュースを、まとめてお届けします。
ご登録後、確認メールをお送りします。配信停止はいつでも可能です。
