アメリカン・エキスプレスは、AIエージェントが利用者に代わって買い物をする際の誤購入や不正利用を防ぐ「Intent Intelligence Framework」を発表しました。購入の意図を取引の前段で確定させるのが特徴です。

何を解決するのか
AIエージェントによる購買が広がると、確率的に動くモデルが「頼んでいない買い物」をしてしまう余地が生まれます。アメックスはこの問題に対し、顧客の購入指示と制約条件を取引の前に捕捉し、認証する枠組みを用意しました。同社のAgentic Partnerships and Strategy担当VP、Hannah Bozian氏は「この新しい取引には消費者・加盟店・エージェントの3者が関わる」と説明し、エージェント経由でも従来と同じ「なめらかで信頼できる安全な体験」を保つことが目的だとしています。
| 要素 | 役割 |
|---|---|
| Create Intent API | 購入指示と制約(加盟店名、上限予算、商品の好み)を捕捉 |
| Intent ID | その意図を一意に識別するID |
| Proof of Intent Token | 顧客の制約条件を含むトークン |
| 決済用クレデンシャル | 実際のカード番号の代わりにエージェントが使う資格情報 |
「リスクが起きる前に」止める設計
Bozian氏は他社との違いとして「意図を取引フローのより早い段階に引き込む」点を挙げています。例として、利用者が「白いナイキのスニーカー、サイズ9」と指示したのにエージェントがアディダスの靴を発注しようとした場合、意図と合わないため取引を止められる仕組みです。Intent IDとトークンは不正防止やチャージバック対応にも使えるとしています。
完全自律の購買を見越した設計
現在は多くのエージェントが購入前に同意を求めますが、同社はより自律的な将来を想定しています。トイレットペーパーやキッチンペーパーの再注文のように「価格とサイズだけが制約」というカテゴリでは、技術側で追加確認をする意味が出てきます。
市場の受け止め
同社の調査Trendexでは、米国の消費者の66%が「商品やサービスの最安値を調べるためにAIエージェントを使う可能性が高い」、61%が「今後12か月で商品推薦に使う可能性が高い」と回答しています。同社は現時点でエージェント商取引による紛争の増加は確認していないとしつつ、拡大を見越して先に仕組みを整えるとしています。この枠組みは4月に公開した開発者向けツールキット「ACE」の一部に組み込まれました。
まとめ
エージェントが決済の当事者になると、認証と責任の所在が新たな論点になります。決済ネットワーク側が先に標準を提示した形です。
編集部の見解
決済ネットワークが「意図の記録」を標準化しようとしている点は、日本のEC事業者にとっても対岸の話ではありません。エージェント経由の注文では、誰の指示で何が買われたかの証跡が残らないと、返品やチャージバックの場面で説明ができません。アメックスの枠組みは、その証跡をカード会社側で持つ設計です。日本では決済手段が分散しているため、同種の仕組みが一社で完結するとは限りません。自社ECにエージェント経由の流入が増える前に、注文に至った経緯をどこまで記録するかを決めておくのが実務的な備えになります。
my-best.ai 編集部
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