AI音声スタートアップVapi、Amazon Ringに採用され評価額5億ドルに|40社超の競合を抑え
AI音声スタートアップVapiは、Amazon RingのコールセンターAIプラットフォームとして40社超の競合を抑えて採用され、シリーズB資金調達で評価額5億ドル(約750億円)に達した。同社は1日100万~500万件の通話を処理し、エンタープライズ向けAI音声インフラで急成長している。
米国時間2026年5月12日、TechCrunchはAI音声スタートアップVapiの大型資金調達とAmazon Ringとの提携を報じた。昨年のホリデーシーズンにサポートコールが急増したAmazon Ringは、40社以上のAI音声ベンダーを評価した上で、Vapiを選定した。現在、Ringの全ての着信電話はVapiのプラットフォームで処理されている。
|Amazon Ring、40社超の競合を抑えVapiを選択
Amazon Ringは昨年第4四半期、コールセンター増強や従来型自動音声システムの拡充、あるいは自然な会話が可能なAIエージェントの導入を検討していた。Vapiのジョーダン・ディアーズリーCEOは、RingがVapiを選んだ理由として、エンジニアがAIエージェントの動作を細かく制御できる点を挙げた。
Amazon Ringソフトウェア開発副社長ジェイソン・ミトゥラ氏は、Vapi導入後に顧客満足度スコアが向上し、エンジニアに依存せずAIエージェントの体験を調整できるようになったと評価。「多くのAIツールは成果を約束するが、Vapiは約束を実現した」と述べた。
|シリーズBで5000万ドル調達、評価額5億ドルに
Amazon Ringとの導入実績を背景に、VapiはPeak XV PartnersをリードとするシリーズBラウンドで5000万ドルを調達。投資後の評価額は約5億ドルとなった。出資者にはMicrosoftのM12、クライナー・パーキンス、ベセマー・ベンチャー・パートナーズが参加し、累計調達額は7200万ドルに達した。
関係者によると、Vapiの年間経常収益(ARR)は8桁台の健全な水準で推移している。
|創業はAIセラピスト、2024年にプラットフォーム公開
Vapiは2023年、ディアーズリー氏が日常の散歩中の会話用に開発したAIセラピストを起源に持つ。ワーテルー大学の同級生であるニキル・グプタ氏と共同で創業し、Yコンビネーターを卒業。当初のセラピー製品自体の需要は少なかったものの、その基盤となる低遅延音声インフラへの企業ニーズが高まり、2024年にVapiとしてプラットフォームを公開した。
|1日100万~500万件の通話処理、開発者100万人超が利用
Vapiはカスタマーサポート、リード獲得、予約管理、アウトバウンド営業向けにAI音声エージェントの構築・導入・管理ツールを提供する。同社のプラットフォームで処理された累計通話数は10億件を超え、エンタープライズのAI化加速に伴い利用が急増している。
主なエンタープライズ顧客にはAmazon Ringのほか、Kavak、Instawork、New York Life、UnityAI、Cherry、Intuitが名を連ねる。セルフサーブ開発者プラットフォームには100万人超の開発者が登録している。
|競合との差別化:インフラ層に特化、企業の制御ニーズに応える
VapiはSierra、Decagon、PolyAI、Bland、Retell、ElevenLabsなどのAI音声スタートアップと競合する。ディアーズリーCEOは、パッケージ製品ではなく、信頼性・コンプライアンス・モデル動作の制御を重視する企業向けのインフラ・オーケストレーション層に特化する点を差別化ポイントとして強調する。
現在の従業員数は約100名。新たな資金はエンジニアリング、インフラ、営業チームの拡充に充てる計画だ。「モデルという不確かな存在を制御することが最大の課題。それを実現できれば、世界に価値を提供できる」とディアーズリー氏は語った。
