2026年4〜6月、アリババ、テンセント、百度の3社が投じた設備投資は合計1,318.52億元。前年同期の615.83億元から114%増えました。アリババ単体で676.78億元(+75%)、テンセントが527.84億元(+176%)、百度が113.90億元(前年比約2倍)です。金額の大きさより、この投資がいつ回収されるのかという問いに、まだ誰も答えられていません。

何が変わったのか
2023年までのクラウドの需要は、モデルの訓練が中心でした。訓練が終われば計算需要は一旦落ちます。転機は2025年で、上半期にモデル競争が火をつけ、下半期にエージェントが需要を引き継ぎました。クラウド事業者の立場は「水を売る人」から「計算資源の門番」に変わり、売り物は標準化された資源から、希少な計算資源へのアクセス権になりました。
エージェントが動くと、処理の性質が変わります。訓練より推論が多く、状態を持たないリクエストから状態を持つタスクへ、資源経済からトークン経済へ。アリババのCEO、呉泳銘氏は9月のクラウド大会で、2032年までにデータセンターを20GW規模にすると発表しました。大型原子力発電所20基分に相当する電力です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 3社合計の四半期設備投資(2026年Q2) | 1,318.52億元(前年同期615.83億元、+114%) |
| アリババ | 676.78億元(+75%) |
| テンセント | 527.84億元(+176%) |
| 百度 | 113.90億元(約2倍) |
| アリババの現在の計算規模 | 約5〜6GW(2022年は2GW) |
| 2032年目標 | 20GW |
産業と市場の見方が割れている
投資銀行は強気です。ゴールドマン、シティ、UBSはいずれも20GWという数字を大会最大の収穫と評価し、アリババクラウドの長期収益を再評価しました。1GWあたり千億元級の外部収入が見込めるという前提で、評価モデルを書き換える水準だという見方です。
一方で、アリババの米国預託証券は2025年10月から累計40%以上下落し、8月の決算発表後には時間外で4%超下げる場面もありました。長期の価値への疑いではなく、投下した資本がいつ、どの経路で戻ってくるのかが読めないことへの警戒です。
参照になる数字があります。バークレイズの調査によれば、米国のAIモデル企業が100ドルの収入を得たとき、35〜40ドルがAWS、Azure、Google Cloudに流れ、クラウド側の営業利益は10〜20ドル。売上の3分の1が計算資源に吸われる構造です。
新しい競争指標
規模はもはや勝敗を決めません。問われるのはROIC(投下資本利益率)、フリーキャッシュフロー、そしてGPUの稼働率です。推論は訓練と違い、需要が細く途切れると設備が遊びます。しかも世代交代が速い。3年前のGPUは、電力効率の面で競争力を失います。
よくある質問
Q. 日本のクラウド事業者にも同じ圧力がかかりますか。
A. 規模は違いますが方向は同じです。国内は電力コストと土地の制約が大きく、20GW型の拡張は現実的ではありません。代わりに、特定業種に絞った推論基盤が現実的な選択肢になります。
Q. 利用者側に何が起きますか。
A. 短期的には値下げ競争、中期的には料金体系の複雑化です。エージェントの実行時間やツール呼び出し回数で課金する形が増えます。
編集部の見解
この記事を読んで最も頭に残ったのは、20GWという規模の話ではなく、売上の3分の1が計算資源に吸われるという分配の構造です。日本の企業がAI製品を作るとき、原価の相当部分がクラウドの利用料になります。ところが多くの事業計画では、ここが「その他費用」として雑に扱われています。
実務的には、エージェント型の機能を作る前に、1タスクあたりのトークン消費とツール呼び出し回数を実測しておくべきです。これがないと、値付けができません。設備投資の話に見えて、実は原価計算の話です。
my-best.ai 編集部
出典:36Kr「燃えよToken——Agentic Cloud時代、クラウド事業者の資本効率の試練」(寄稿:正見TrueView、2026年10月20日)/バークレイズ、ゴールドマン・サックスの試算による
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