8月末のNVIDIA決算説明会で、次世代ハードVera Rubinの出荷開始が確認されました。注目は冷却です。この世代のラックはファンを1つも持たず、消費電力は190kW超、放熱は100%液冷。風冷が捌ける限界は経験則で20〜30kWと言われ、AIデータセンターの競争軸が「冷やす側」へ移ったことを示しています。

なぜ冷やすことが難所になったのか
HPE版GB200 NVL72ではラック消費電力132kWのうち115kWを液冷が担当し、風冷の分担は残り17kWです。8月30日には貴陽で国内初の浸漬式液冷コンテナが稼働し、運営者の説明では、1kWhの計算に風冷なら0.3〜0.5kWhの追加電力が要るのに対し、全浸漬式では0.15kWhで済みます。低温地域の立地や水資源の確保には限りがあり、液冷一本化は技術の好みではなく制約の帰結です。
3部品がコストの85%を握る
| 部品 | 役割 | 要点 |
|---|---|---|
| 冷板 | チップに密着して熱を液体へ移す | コストの32〜40%。0.2mm級の微細流路で歩留まりが命 |
| CDU | 流量配分・温度調整・冗長確保 | 流量制御精度±2%。漏電時にミリ秒で回路を切断 |
| 継手 | 機器の着脱と密封 | 通液のままの抜き差しでゼロ漏れ、5,000回以上の耐久 |
3部品の市場集中度も高く、冷板は台湾系、CDUと継手は欧米系が上位を固めてきました。2025年通年の数字では、Vertivが売上102.3億ドル・粗利益率36.3%、継手大手CPCの親会社Doverが39.8%、台湾の奇鋐と双鴻は25.81%と27.38%です。
海外大手が売っているのは「确定性」
数百ドルの継手の漏れが、数百万ドルのサーバー一式を脅かす。だから顧客が買うのは部品ではなく「この設備が算力を止めない」という保証です。Vertivは2024年にNVIDIAとGB200 NVL72の給電・冷却リファレンス設計を公表し、COOLERCHIPS計画では冷板式と浸漬式を1ラックに統合した混合冷却を3年がかりで提案しました。量産での品質の揃いも決め手で、Eatonの冷板はCNC加工と真空ろう付けの後、1点ごとに漏れと流量を検査して出荷します。
中国メーカーの3つの入り方
1つ目は業種横断です。三花智控・銀輪股份・納百川は自動車熱管理の量産経験を、英維克はデータセンター・通信・蓄電池分野の蓄積を武器に参入しました。英維克のCoolinsideは冷板から継手・CDU・配管まで一括設計ができ、NVIDIA公式のBlackwellインフラエコシステムパートナーに名を連ね、2026年上半期報告ではUQD・MQDがMGXエコシステムに入ったと開示しています。2025年のOCPグローバルサミットではGoogle向けに開発したDeschutes 5 CDUも展示しました。
2つ目は点の効率で規模を補う方法です。浪潮情報は京東雲と液冷整ラックを共同開発し、生産試験の記録を製造実行系に残して次のロットに還元します。3つ目は時間の使い方で、浪潮は管路と冷源のプレハブ化で施工を1か月から1週間に短縮、科華データと沐曦の協業では受注から45日で冷板式PODを納めています。
よくある質問
Q. なぜ液冷が必須になったのですか。
A. 風冷が現実的に捌けるのはラック20〜30kWまでです。Vera Rubin世代はラック190kW超で風冷ファンが姿を消し、冷却は100%液冷に移りました。
Q. 液冷で一番価値がある部品はどこですか。
A. 冷板・CDU・継手の3部品でシステムコストの85%を占めます。チップに近い冷板が特に難しく、全体の32〜40%を占めます。
Q. 中国メーカーはどこまで入っていますか。
A. 英維克はNVIDIAのBlackwellインフラエコシステムパートナーに名を連ね、UQD・MQDがMGXエコシステムに入ったと2026年上半期報告で開示しています。
編集部の見解
液冷にCUDAのような閉じたエコシステムはありません。規格に適合し、安く、速く納められれば、他社が作った規格の中でも受注できる。中国メーカーの進め方は、この業界の競争の本来の形に近い。
日本の装置メーカーにとって示唆的なのは、Vertivらが「設計の初期段階から入る」ことで地位を築いた点です。熱設計は建屋条件と一体で決まるため、ラック単体の性能競争より、設計段階への早期参加が受注を分けます。電力制約が強い日本では、この立ち位置はまだ空いています。
my-best.ai 編集部
出典:36Kr「AI算力センターの裏側、数千億規模の「冷却戦争」」(寄稿:星海情報局、2026年10月20日)
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