自動化しているのに、途中で人が判断している工程が1つだけ残っている。そんな流れにAIを足すとき、全部を作り直す必要はありません。判断が要る1か所だけを置き換え、前後は決まった処理のまま残す。この形が、壊れにくく直しやすい作り方になります。

足す場所は「言葉を読んでいる工程」に限る
AIを入れるべき場所は、人が文章を読んで判断している工程です。問い合わせの内容から種類を決める、議事録から宿題を抜き出す、応募文から条件に合うかを判断する。こうした工程は、決まった条件分岐では書き切れません。
逆に、決まった条件で足りる工程にAIを入れると、同じ入力でも結果が変わる余地が生まれます。金額の計算、宛先の振り分け、締め日の判定は、決まった処理のままにしてください。この切り分けはAIエージェントの設計でも同じ考え方を使います。判断の材料を絞るという意味では、コンテキストウィンドウの扱い方にも通じます。
手順1:今の流れを1行ずつ書き出す
トリガー、処理、出力の3列で書き出します。処理の列に「人が読んでいる」と書いた行だけがAIの候補です。ここを飛ばしていきなり編集画面を開くと、動いている流れを壊します。
手順2:AIに渡す入力を1つに決める
AIのステップには、判断に必要な情報だけを渡します。顧客名や過去の履歴まで渡すと、使ってほしくない情報まで材料になります。件名と本文で足りるなら、その2つに絞ってください。
手順3:プロンプトを「分類の定義」から書く
プロンプトは、出力の形を先に決めてから書くと安定します。たとえば「次の文を、緊急/通常/情報のみの3つに分類してください。判断の理由は書かず、分類名だけを返してください。判断できない場合は『要確認』と返してください」。
「要確認」の逃げ道を用意するのが要点です。選択肢を閉じると、当てはまらない入力が無理やりどれかに寄せられます。
手順4:出力の形を固定し、後続の処理と合わせる
| 出力 | 後続でできること | 注意点 |
|---|---|---|
| 分類名のみ | 条件分岐で振り分け | 表記の揺れを許容しない。選択肢をそのまま返させる |
| 分類名+理由1行 | 人が見て確認 | 理由の文章が長くなり、分岐の条件に使いにくい |
迷ったら「分類名のみ」から始めます。理由が要るようになったら、後から列を足せます。
手順5:20件の実データで一度通す
本番の前に、過去の実データを20件通します。見るのは3つです。分類が外れた件数、判断に迷ったのに自信ありげに返した件数、空欄や記号だけが返った件数。3つ目は、入力が空のときに起きやすいので、必ず混ぜてください。
手順6:人の確認を1か所だけ残す
外部に送る文面、返金や契約に関わる判断、顧客情報の更新。この3つのどれかに触れるなら、AIの出力をそのまま実行しないでください。人が見る工程を1つ挟み、そこは省略しないと決めます。
確認の観点は「事実の取り違え」「宛先の誤り」「社外に出せない情報」の3つで足ります。
よくあるつまずき
ひとつは、AIのステップを2つ以上続けて置くことです。1つ目の出力を2つ目が読み、誤りが増幅されます。判断が2段階必要な場合は、間に人の確認を挟むか、1つのプロンプトにまとめてください。
FAQ
Q. 既存の流れを止めずに試せますか?
A. 複製して試すのが安全です。複製した側のトリガーを止め、手動実行で20件を通します。問題がなければ本番側に切り替え、複製は残しておくと、切り戻しが1操作で済みます。
Q. AIの利用料はどのくらい増えますか?
A. 実行回数と入力の長さで決まるため、一律には示せません。まずは1日の実行回数を数え、そのうちAIのステップに到達する件数を見てください。多くの流れでは、分岐の手前で件数がかなり絞られています。
Q. 分類の精度が上がりません。
A. 選択肢の定義が曖昧なことが多いです。「緊急」の基準を、対応までの時間で書くのか、影響範囲で書くのかを決めてください。定義を1行足すだけで、判定が揃う場合があります。
出典
出典:Zapier「ChatGPT automation: How to use the Zapier ChatGPT integration」(2026年9月23日)
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編集部の見解
AIのステップは、足す場所を間違えると効果が見えません。逆に、人が読んでいる1か所に絞れば、効果も副作用も測りやすくなります。全部を賢くしようとすると、どこが悪いのか分からない仕組みができます。まず1か所、20件の実データで試す。この地味な進め方が、結果的に一番速いと感じています。
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