n8n(エヌエイトエヌ)は、アプリ同士をつないで定型作業を自動化するツールです。最大の特徴は、自分のサーバーに置いて使う「セルフホスト」ができ、その場合はソフト自体が無料で、実行回数の制限もないことです。編集部でセルフホストとクラウド版の両方を試したうえで、費用がどこで決まるのかを整理しました。2026年10月時点の公式情報にもとづいています。
この記事の結論
- n8nはアプリ連携で定型作業を自動化するツール。400以上のサービスをつなげられます
- セルフホスト版はソフトが無料で、ワークフロー数・実行回数・ユーザー数の制限がありません。費用はサーバー代だけです
- 課金単位は「実行」=ワークフロー1回の通し実行。ステップ数は関係しないため、長いフローほど他社ツールより割安になります
- クラウド版は月額20ユーロ(年払い)から。14日間の無料トライアルがあり、無料の恒久プランはありません
- ワークフローの共有やSSOなどチーム向け機能は有料プランの領域です
n8nとは?基本情報
n8nは、複数のアプリやサービスを線でつなぎ、決まった流れの作業を自動で回すツールです。フォームの回答を表計算に転記する、問い合わせが来たらチャットに通知して記録を残す、といった作業を「ワークフロー」として組み、あとは放っておけます。画面上でつないでいくだけで作れますが、用意されていない連携が必要になったときは、JavaScriptやPythonを数行書いて埋め込める点が他の自動化ツールとの大きな違いです。
もう一つの特徴が、置き場所を選べることです。自分のサーバーに置く「セルフホスト」と、n8nが用意した環境を借りる「クラウド版」の2通りがあります。セルフホストはソフト自体が無料で、実行回数やユーザー数の上限がありません。その代わり、サーバーの用意や更新作業は自分で行います。クラウド版は月額を払う代わりに、面倒な運用を任せられます。この二択をどう選ぶかが、n8nを使いこなすうえでの最初の分かれ道です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供元 | n8n(ドイツ) |
| 提供形態 | セルフホスト(自分のサーバー・PC)/クラウド版 |
| 主な用途 | アプリ間のデータ連携、定型業務の自動化、AIを組み込んだ処理の自動実行 |
| 連携できるサービス | 400以上 |
| プログラミング | コード用のノードでJavaScript・Pythonを記述できます |
| セルフホストの料金 | ソフトは無料。費用はサーバー代のみ |
| クラウド版の料金 | 月額20ユーロから(年払い)。14日間の無料トライアルあり |
| ライセンスの考え方 | 自社の業務利用や個人利用は可。ツールそのものを再販する使い方は認められていません |
似た役割のツールにZapierやMakeがあります。料金の数え方が違うため、比較のときは「月額」ではなく「自分のワークフローが1か月に何回動くか」で比べるのが正解です。この点は後半で詳しく整理します。
実際に使ってみた感想
つなぐ作業そのものが速い
最初に感じたのは、画面の反応と試行の速さです。ノードを置いて設定し、テスト実行を押すと、どこまで進んだかが一目で分かります。途中で止まったときも、どのノードで何が起きたかが表示されるため、原因を探す時間が短くて済みました。自動化ツールでつまずきやすいのは、失敗した理由が分からないことなので、ここが明確なのは助かります。
「ちょうどよい自動化」を作れる
テンプレートを読み込むと、おおよその形が最初から組まれています。そこから不要なノードを消し、足りない処理を足すだけで、自分の業務に合った流れになります。ゼロから組むのではなく、雛形を削って合わせる進め方ができるため、初めてでも30分ほどで1本目が動きました。手作業でやっていた転記が消えるだけでも、体感の負担は大きく変わります。
実行回数の数え方に慣れが必要
クラウド版を試していて戸惑ったのは、実行回数が想定より早く減る場面があることです。5分ごとに動くワークフローを1本置くと、1日で288回、30日で8,640回動きます。下位プランの枠は2,500回なので、1本の置き方次第で枠に届いてしまいます。逆に言えば、動く頻度を設計するだけでコストは大きく変わるので、まず動かして実測するのが早いと感じました。
AIを処理の途中に挟む使い方も試しました。要約や分類をClaudeやChatGPTに任せ、その結果を表計算に書き戻す流れは、手作業の確認を挟まずに回せます。調査の下ごしらえと実行をManusに任せ、決まった処理だけをn8nで回す分担も相性が良いです。
n8nの良い点
- セルフホストならソフトが無料。実行回数・ワークフロー数・ユーザー数の制限がなく、費用はサーバー代だけです
- 課金単位が「実行」。1回の実行に何ステップ含まれても1回と数えるため、長いフローほど割安になります
- コードを書ける。用意されていない連携も、JavaScriptやPythonで埋め込んで対応できます
- AIの処理を流れに組み込める。要約・分類・判定をワークフローの途中に差し込めます
- データを自分の環境に置ける。社外に出せない情報を扱う業務でも選択肢になります
- テンプレートが豊富。雛形を削って合わせる進め方ができ、初回の立ち上がりが速いです
他のツールとの分担も考えやすい設計です。定型的な連携はn8n、判断を伴う調べ物はManusやPerplexity、文章の作成はClaude、タスクの管理はTaskadeやMotionに任せる、といった組み合わせが現実的です。ノーコードで組みたい部分と、コードで押さえたい部分を同じ画面で扱えるのが、n8nの立ち位置を独特にしています。コード補助を併用したい場合はGitHub CopilotやReplitも選択肢になります。
気になった点・導入前の注意点
- セルフホストは運用の手間がかかる。サーバーの用意、HTTPSの設定、バックアップ、更新作業は自分の担当になります
- クラウド版に無料の恒久プランはない。14日間のトライアル後は有料プランへの移行が必要です
- 実行回数が上限に達すると止まる。超過分を課金してくれるわけではなく、翌月まで動かなくなります
- チーム向け機能は有料。ワークフローの共有やシングルサインオン、バージョン管理は上位プランの領域です
- ライセンスに用途の制限がある。自社業務や個人利用は自由ですが、n8n自体をサービスとして再販する使い方は認められていません
- 料金がユーロ建て。日本円での請求額は為替とカード会社の手数料で変わります
見落としやすいのは1点目です。セルフホストの「無料」は、サーバー代と自分の作業時間を払わないと成立しません。月に数時間の保守が発生することを考えると、その時間を別の仕事に使いたい場合はクラウド版のほうが結果的に安くつきます。技術的な担当者が身近にいるかどうかが、判断の分かれ目になります。
n8nの料金プラン(セルフホストとクラウド)
料金はまず「どこで動かすか」で分かれます。セルフホストはソフトが無料で、費用は借りたサーバーの分だけです。クラウド版は月額を払い、その代わりに実行回数の枠が設定されます。以下のクラウド版の金額は年払いを選んだ場合の月あたりの表示です。
| プラン | 料金(年払いの月あたり) | 内容の目安 |
|---|---|---|
| セルフホスト | 無料(サーバー代のみ) | ワークフロー数・実行回数・ユーザー数の制限なし。共有やSSOなど一部のチーム機能は対象外 |
| Cloud Starter | 月額20ユーロ | 月2,500実行。有効なワークフローは5件まで。小規模な自動化向け |
| Cloud Pro | 月額50ユーロ | 月10,000実行。有効なワークフロー数が無制限になり、実行履歴の調査機能が付きます |
| Business | 月額667ユーロ | 月40,000実行。同時実行数が増え、自社サーバー上で運用する形態も選べます |
| Enterprise | 要問い合わせ | シングルサインオン、権限管理、監査ログ、専用サポートなど |
判断は単純です。月に数千回以上動かすならセルフホスト、動く頻度が低く運用を任せたいならクラウド版。クラウド版は14日間の無料トライアルがあるので、その間に実際の回数を数えてから決めるのが確実です。
料金・実行回数・付帯機能は変更されることがあります。金額はユーロ建てで、日本円での請求額は為替とカード会社の手数料により変動します。セルフホストのサーバー費用は契約するサービスによって異なります。本記事は2026年10月時点の公式料金ページにもとづく整理であり、契約前に必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。
Zapier・Makeとの違い
自動化ツールの比較で見落とされやすいのが、課金の数え方です。同じ「月額」でも、1回の作業をどう数えるかが違うため、請求額が大きく変わります。
| 観点 | n8n | Zapier | Make |
|---|---|---|---|
| 課金単位 | 実行(ワークフロー1回の通し実行) | タスク(1つの動作ごと) | オペレーション(1動作ごと) |
| ステップ数が増えると | 料金は変わらない | 消費が増える | 消費が増える |
| セルフホスト | できる(無料) | できない | できない |
| コードの埋め込み | JavaScript・Pythonに対応 | 限定的 | 限定的 |
| 向いている人 | 長いフローを大量に回す人、データを自社に置きたい人 | 短い連携を手軽に始めたい人 | 中規模の連携をバランスよく回したい人 |
たとえば5つの動作を含むフローを月に1,000回動かす場合、動作ごとに数えるツールでは5,000回分の消費になります。n8nのクラウド版は1,000実行と数えるため、工程が長いほど差が開きます。逆に、2つのアプリをつなぐだけの短い自動化を月に数十回動かす程度なら、ZapierやMakeのほうが手軽で、料金もほとんど変わりません。
n8nはどんな人におすすめか
- 同じ転記・連携作業を毎日繰り返している人。最初に1本作れば、以降は手を離せます
- 自動化の本数を増やしたいチーム。セルフホストなら本数と実行回数の上限を気にせず運用できます
- 扱うデータを社外に出せない業務の担当者。自分の環境に置ける点が選択の決め手になります
- 用意された連携では足りず、コードで埋めたい人。既製の部品と自作の処理を同じ流れに混ぜられます
- AIを使った処理を自動で回したい人。要約や分類をワークフローの途中に組み込めます
逆に、サーバーの管理を誰も引き受けられない場合はセルフホストを選ぶべきではありません。また、自動化したい作業が月に数回しか発生しないなら、無料プランのある他ツールで足ります。まずは「毎週必ず発生している面倒な作業」を1つ選び、それだけを自動化するところから始めるのが、挫折しない進め方です。
よくある質問(FAQ)
Q. n8nは本当に無料で使えますか?
A. セルフホスト版はソフト自体が無料で、ワークフロー数・実行回数・ユーザー数の制限がありません。実際にかかるのはサーバー代です。ただしサーバーの用意や更新、バックアップは自分の作業になる点は考慮してください。クラウド版には無料の恒久プランはなく、14日間のトライアルのみです。
Q. Zapierとどちらを選ぶべきですか?
A. 課金単位の違いで判断できます。n8nはワークフロー1回の実行を1回と数え、Zapierは動作ごとに数えます。工程の多いフローを頻繁に動かすならn8nが有利で、短い連携をときどき動かすだけならZapierのほうが手軽です。
Q. プログラミングの知識は必要ですか?
A. 基本的な連携は画面の操作だけで作れます。用意されていないサービスと連携したい場合や、データの形を細かく整えたい場合に、コード用のノードでJavaScriptやPythonを書きます。最初から必須ではありません。
Q. 実行回数の上限に達するとどうなりますか?
A. クラウド版では、枠を使い切ると追加の実行は課金されず、その月は動かなくなります。5分ごとに動くワークフローを1本置くだけでも回数は大きく増えるため、動かす頻度を設計してから契約することをおすすめします。
Q. 作ったワークフローは他の人と共有できますか?
A. セルフホスト版は作成者以外から見えない扱いになり、共有やシングルサインオン、バージョン管理は有料プランの機能です。チームで同じフローを育てたい場合は、クラウド版か上位プランを検討する必要があります。
まとめ
n8nは、アプリ連携による定型業務の自動化を、置き場所まで自分で選べるツールです。セルフホストならソフトは無料で実行回数の制限もなく、クラウド版なら運用を任せられます。課金の単位が「ワークフロー1回の実行」である点も見逃せません。工程の多い自動化を頻繁に回すほど、動作ごとに数える他ツールとの差が開きます。一方で、セルフホストはサーバー代だけでなく保守の時間もかかり、クラウド版には無料の恒久プランがありません。まずは14日間のトライアルかセルフホストで1本動かし、月に何回動くかを実測してからプランを決める。この順序なら、費用も運用も見誤りません。機能と料金の全体像はn8nのページで確認できます。
最新のAI情報をメールで受け取る
新着のAIツール比較・ランキング・ニュースを、まとめてお届けします。
ご登録後、確認メールをお送りします。配信停止はいつでも可能です。
