エージェントに任せた仕事が「いつまでも終わらない」「終わったと思ったら中途半端」と感じるとき、足りないのは能力ではなく完了条件です。どこまでやったら終わりかを言葉にして渡すと、任せる仕事の幅が一気に決められます。

完了条件は「判定できる形」で書く
「しっかりまとめてください」は完了条件ではありません。判定できる形とは、合否が機械的にも人的にも数えられる形です。DeepLearning.AI のコース「Evaluating AI Agents」は、エージェントを体系的に評価・改善していく方法を教える内容で、その土台は「何をもって良しとするかの定義」です。判定の作り方は、人間参加型(HITL)の設計と重なります。
手順1:仕事の「終わりの姿」を1文で書く
任せたい仕事について、終わった瞬間の状態を1文で書きます。「見積もり依頼のメールごとに、社内の担当者が判断に使える3行の要約が表に追記されている」のような形です。1文で書けない仕事は、まだ分割が必要という合図です。
手順2:判定項目を3つに分解する
終わりの姿を、判定項目3つに分解します。例なら「全件に要約がある」「要約が3行以内」「担当名と期限が入っている」。3つを超えると点検が重くなるので、足りない項目は後から足します。判定項目は、AIエージェントに渡す指示文の中に、そのまま入ります。
手順3:正解の例を5組そろえる
仕事の入力例5件と、完了条件を満たした出力の見本を並べます。この見本が、判定の基準を人にもエージェントにも伝える役割を果たします。見本を作るときに「判定できない項目が混ざる」ことが多く、その時点で条件を書き直せば、本番での手戻りが減ります。
手順4:判定できない例の扱いを決める
完了条件で判定できない入力は、必ず出ます。そのときの挙動を先に決めておきます。「判定できなければ処理を止め、そのまま人に渡す」がおすすめです。無理に判定させて進めるより、止まるほうが、後から追うときの負担が軽くなります。止まった件の扱いを週に1回見直す形が、現実的な運用です。
手順5:幅を広げる前に、1週間記録する
完了条件を渡して運用を始めたら、1週間、判定の結果を記録します。満たした件数、止まった件数、人が直した件数。この3つの数字が揃うと、任せる範囲を広げるかどうかの判断が感情ではなく記録でできます。広げる場合も、仕事の種類を1つずつ足していくのが安全です。
完成条件の書き方の見本
| 悪い例 | 良い例 |
|---|---|
| しっかり調べてください | 指定の2つの資料だけを根拠に、比較表の4列を埋めてください |
| わかりやすくしてください | 各項目は見出し1行と説明2行以内にしてください |
| 必要なら対応してください | 判定できない入力は処理を止め、人に渡してください |
FAQ
Q. 完了条件は細かいほどいいですか?
A. 細かさより「判定できるか」が重要です。判定できない細かい条件は、点検の負担だけを増やします。3項目から始めて、外れた結果を見ながら足すほうが効きます。
Q. 人の確認はどこまで必要ですか?
A. 完了条件の判定そのものを自動化していても、外れの点検だけは人に残すのが安全です。止まった件数が急に増えたら、条件か入力のどちらかが変わった合図です。
出典
出典:DeepLearning.AI「Evaluating AI Agents」(Arize AI、2026年10月22日参照)
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編集部の見解
完了条件を書く作業は、AIのためというより、自分の仕事の整理になっていると感じています。終わりの姿が1文で書けない仕事は、人に頼んでも伝わらない。エージェント導入の話題が難しく感じられるとき、多くはこの1文が決まっていないだけだと思います。
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