動画は作れるのに、ナレーションだけ外注している。ElevenLabs(イレブンラボ)は、その往復をなくすためのツールです。編集部では、原稿を貼って読み上げを作る基本の流れから、声を複製して同じ話者で複数本をそろえる使い方まで試しました。料金は文字数ではなくクレジットで管理され、無料でも毎月一定量が使えます。本記事では2026年10月時点の公式情報をもとに、無料でできる範囲と、有料プランで開く機能を整理します。
この記事の結論
- 強みは読み上げ・声の設計・声の複製・効果音・音楽・吹き替えが1か所にまとまっていることです
- 料金はFree 0ドル(月10,000クレジット)/Starter 月6ドル/Creator 月22ドル/Pro 月99ドル/Scale 月299ドル/Business 月990ドル
- 商用ライセンスはStarter以上。無料プランは試用の位置づけで、商用利用は想定されていません
- 声の複製は本人の同意が前提。第三者の声を無断で複製すると規約違反になります
- 日本語の抑揚は原稿の書き方で変わる。句読点と文の長さを整えると自然になります
ElevenLabsとは?基本情報
ElevenLabsは、文章を自然な音声に変えるツールです。中心にあるのは読み上げ(テキスト読み上げ)ですが、それだけでなく、声質を文章から設計する機能、自分の声を複製する機能、効果音や音楽の生成、動画の吹き替えまでを同じ契約で扱えます。音声を作る工程が複数のサービスに分かれがちなところを、1か所に寄せた構成です。
編集部が最初に確認したのは、料金の単位です。「月に何分」ではなく、クレジットという文字数に近い単位で管理されます。読み上げの長さ、声の複製、吹き替えの分量で消費が変わるため、プラン選びでは分数より先に、自分が月に何文字しゃべるかを把握したほうが確実です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供元 | ElevenLabs(海外のAI音声企業) |
| 提供形態 | Webブラウザ、API、モバイルアプリ |
| 対応OS | OSに依存せず、Webブラウザから利用できます |
| 主な用途 | ナレーション、音声ドラマ、動画の吹き替え、声質の設計、効果音と音楽の生成、音声からの文字起こし |
| 声の作り方 | 用意された声から選ぶ/文章から声質を設計する/自分の声を録音して複製する |
| 対応言語 | 多言語に対応しており、同じ声のまま別の言語で話させる使い方ができます |
| 無料プラン | あり(月10,000クレジット)。商用ライセンスは含まれません |
| 料金 | 月6ドル〜990ドル(上位は席数を含む法人向け) |
同じ音声でも、Sunoが曲としてまとめるのに対し、ElevenLabsは話し言葉の品質と、声そのものの管理に寄っています。ナレーション付きの動画を作るならHeyGenやPictoryと組み合わせる形になります。
実際に使ってみた感想
原稿を貼ると、抑揚まで付いて返ってくる
編集部では、300字ほどの製品紹介原稿を貼り、声を選んで生成しました。返ってきた音声は、句点で間が入り、疑問形の文では語尾が上がっていました。抑揚の指定をしなくても、文の形から読み方を決めてくれるのは、機械的な読み上げに慣れていた身には違いが大きく感じられました。原稿を少しいじると抑揚も変わるため、文章を直す作業がそのまま音声の調整になります。
声の複製は、手続きの重さが印象に残る
声の複製は、数分の録音から自分の声を作る機能です。編集部で試した範囲では、録音の品質よりも、同意の確認と本人確認の手続きに時間がかかりました。第三者になりすませないようにするための設計だと理解できましたが、急いでいる案件では、この手続きを先に済ませておく必要があります。
日本語は原稿の整え方で差が出る
日本語の読み上げは自然ですが、句読点が少ない原稿や、1文が長い原稿では、抑揚が平坦になりました。1文を40字前後に分け、読点を入れると、聞き取りやすさがはっきり変わります。漢字の読み間違いも、ひらくか送り仮名を足すかで直る場合が多く、原稿の校正がそのまま音声の品質管理になります。
ElevenLabsの良い点
- 読み上げの自然さが高い。句点や疑問形を踏まえた抑揚が付き、原稿の修正がそのまま音声に反映されます
- 声を資産として管理できる。複製した声を保存し、別の原稿でも同じ話者でそろえられます
- 吹き替えまで同じ画面。動画の音声を別言語に置き換える作業を、追加の契約なしで進められます
- 効果音と音楽も作れる。ナレーションとBGMを別々のサービスで用意する必要がありません
- APIが用意されている。原稿の更新に合わせて音声を作り直す処理を自動化できます
- 無料でも毎月一定量が使える。月10,000クレジットの範囲で、声の相性を確かめられます
用途によっては他のツールのほうが向きます。曲として仕上げたいならSuno、動画内の話者の口元まで作りたいならHeyGenやSynthesia、長い音源から原稿を起こす作業はDescriptが得意です。ElevenLabsは声そのものの品質と、声を繰り返し使う管理を担う位置づけになります。
気になった点・導入前の注意点
- 無料プランに商用ライセンスがない。公開する音声は有料プランで作り直す前提になります
- 声の複製は同意と本人確認が前提。第三者の声を無断で使うことはできません
- クレジットの消費が読みにくい。読み上げ・複製・吹き替えで減り方が違います
- 日本語は原稿の整え方が必要。長い文や読点の少ない文は抑揚が平坦になります
- 上位プランは法人向けで価格の幅が大きい。個人が機能だけを目当てに上げるには割高です
- 音声の利用条件は用途で変わる。配信や広告など、使い方によって確認すべき項目が増えます
とくに2点目は、運用の設計に影響します。ナレーションを外注していた場合、読み手の声をそのまま複製して使い続けることはできません。声を資産として持つなら、最初から自社の担当者の声を複製するか、用意された声を選ぶ前提で設計したほうが安全です。
ElevenLabsの料金プラン
料金は月額制で、プランごとにクレジットが配られます。個人向けは4段階、法人向けは席数を含む2段階です。いずれも米ドル建てで、税は別途加算されます。
| プラン | 月額 | クレジットと主な違い |
|---|---|---|
| Free | 0ドル | 月10,000クレジット。読み上げ、文字起こし、効果音、声質の設計、音楽、3件までのスタジオが使えます。商用ライセンスは付きません |
| Starter | 月6ドル | 月30,000クレジット。商用ライセンス、声の即時複製、音楽の商用利用、吹き替えスタジオが加わります |
| Creator | 月22ドル | 月121,000クレジット。プロ品質の声の複製と、クレジットの追加購入に対応します。個人が継続利用する場合の中心です |
| Pro | 月99ドル | 月600,000クレジット。API経由で44.1kHzの音声を出力でき、192kbpsの品質に対応します |
| Scale | 月299ドル | 月1,800,000クレジット。3席が含まれ、チームでの共同作業とプロ品質の声の複製3件が付きます |
| Business | 月990ドル | 月6,000,000クレジット。10席、プロ品質の声の複製10件、低遅延の読み上げに対応します |
料金・クレジット数・付帯機能は変更されることがあります。米ドル建てで、税は別途加算されます。日本円での請求額は決済時の為替とカード会社の手数料で変わります。初月割引などのキャンペーンが表示される場合がありますが、適用条件と期間は公式サイトでご確認ください。音声の商用利用はプランと規約の条件に従うため、公開前に必ず公式の規約を確認してください。
他のツールとの違い
音声を作る手段は、読み上げの専業、動画内の話者生成、曲の生成に分かれます。何を成果物にするかで選び方が変わります。
| 比較軸 | ElevenLabs | 動画内の話者生成(例:HeyGen) | 曲の生成(例:Suno) |
|---|---|---|---|
| 成果物 | 音声ファイル | 話している映像 | 歌入りの曲 |
| 入口 | 原稿を貼る | 原稿とアバターを選ぶ | 詞と雰囲気を書く |
| 声の管理 | 複製した声を保存して再利用 | アバターごとに固定 | 曲ごとに選ぶ |
| 多言語 | 同じ声のまま別言語に吹き替え | 言語ごとにアバターを選ぶ | 詞の言語に依存 |
| 編集の自由度 | 原稿と抑揚の調整 | 映像込みで調整 | 曲としての編集 |
| 向く用途 | ナレーション、音声コンテンツ | 広告、研修動画 | BGM、試作 |
判断の目安は「声だけが欲しいのか、映像ごと欲しいのか」です。声だけならElevenLabsで作り、映像はRunwayやKLING AIで用意するほうが、作り直しの効く構成になります。逆に、話している人物の映像まで一度に作りたいなら、アバター型のツールのほうが速く仕上がります。
ElevenLabsはどんな人におすすめか
- 動画のナレーションを外注せず、修正のたびに自分で作り直したい人
- 同じ話者の声で、複数の動画や音声コンテンツをそろえたい運用担当者
- 音声コンテンツを別の言語にも展開したい出版社・メディア
- 研修や製品説明の音声を、原稿の更新に合わせて作り直したい企業
- 効果音やBGMを含めて、音まわりを1つの契約でまとめたい制作者
よくある質問(FAQ)
Q. ElevenLabsは無料で使えますか?
A. 無料プランがあり、毎月10,000クレジットが付きます。読み上げや声質の設計は試せますが、商用ライセンスは含まれません。公開する音声はStarter以上で作り直す前提で考えてください。まず無料で声の相性を確かめ、使う声が決まってから有料プランに移る順番が無駄がありません。
Q. 自分の声を複製できますか?
A. できます。数分の録音から自分の声を作れますが、本人の同意と確認の手続きが必要です。第三者の声を無断で複製することはできません。案件で使う場合は、読み手の同意を先に取り、手続きを済ませてから制作に入ると、後の差し戻しを避けられます。
Q. 日本語は自然に聞こえますか?
A. 自然ですが、原稿の整え方で差が出ます。1文を40字前後に分け、読点を入れると抑揚が付きやすくなります。漢字の読み間違いは、ひらくか送り仮名を足すことで直る場合が多いです。原稿の校正を音声品質の管理工程として組み込むと、仕上がりが安定します。
Q. 作った音声は商用利用できますか?
A. Starter以上の有料プランに商用ライセンスが付くと案内されています。無料プランは商用利用を想定していません。配信、広告、有料コンテンツなど使い方によって確認すべき項目が増えるため、公開前に公式の規約と、利用する声の条件を確認してください。
Q. 動画の吹き替えもできますか?
A. 吹き替えの機能があり、元の音声を別の言語に置き換えられます。ただし、元の話者の声をそのまま使う場合は同意の確認が必要です。字幕のタイミングや口の動きまで合わせたい場合は、専用の映像ツールと組み合わせたほうが仕上がりは安定します。
まとめ
ElevenLabsは、原稿を自然な音声に変えるツールです。読み上げの品質に加えて、声質の設計、声の複製、効果音と音楽、吹き替えまでを1つの契約で扱えるため、音まわりの発注先をまとめられます。無料プランでも毎月一定量が使え、声の相性を確かめてから有料プランに移れます。一方で、商用ライセンスはStarter以上、声の複製は本人の同意が前提で、日本語は原稿の整え方で仕上がりが変わります。ナレーションを外注していた人が最初に置き換えるべきなのは、短い製品紹介や社内研修の音声です。修正のたびに発注し直す手間がなくなり、効果が分かりやすいからです。まず無料プランで声を選び、使う声が決まったらStarterかCreatorに切り替え、原稿の書き方と合わせて運用を固めていく進め方が現実的です。基本情報はElevenLabsの紹介ページにまとめています。
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